科学的トレーニングは銀の弾丸なのか?


東京マラソン2025で2:32のPBを出して浮かれています。どくてうです。

今日は真面目記事です。

科学的トレーニングは銀の弾丸なのか?

昨今、「科学的トレーニング」という言葉をよく聞くようになりました。

もちろん、ランニングのパフォーマンスを向上させるために、科学的知見に基づいてトレーニングを組み立てることは理にかなっていると思います。 しかし、そもそも科学で測れることは限られており、過信するのは危険だということも同様に考えています。

例えば、「ウエイトトレーニングがランニングに有効か?」という問いを考えてみましょう。ある研究では、レクリエーションランナーにウエイトを導入したところ、パフォーマンスが向上したとします。

しかし、対象がレクリエーションランナーという場合、レクリエーションランナーは、もともと筋力が不足していたり、トレーニングの刺激が単調だったりするため、そうしたトレーニングに不慣れな層に新しい刺激を与えれば、当然何かしらの効果は出る可能性が高いです。みなさんも部活で走り始めたらすぐに伸びましたよね?

しかし、この結果をそのままエリートランナーに当てはめ、ウエイトはランニングパフォーマンスを向上させるという一般的な説明をすることはできるでしょうか?当然否ですよね。

では、このような疑問が湧いた時、エリートランナーを対象に、ウエイトトレーニングを行うグループと行わないグループに分け、1500mや5000mのパフォーマンスが向上するかを検証するのは理想的な研究に見えます。しかし、そんな実験は実際には不可能です。ウエイトの有無以外の要因、例えば普段の練習量や疲労度、モチベーションの違いなどを完全にコントロールすることは現実的に難しく、また、実験のために練習内容を制限するのは競技者にとってデメリットは計り知れません。結果として、トレーニングの効果を純度高く測ることは、極めて困難なのが実情だと思いませんか?

こうした背景があるにもかかわらず、不完全な研究結果がクソデカ主語で一人歩きし、「ウエイトは必須」「ウエイトは無駄」といった極端な主張が飛び交うことも以前よりも見られるようになったように思います。

ここで重要なのは、科学を盲信/否定するのではなく、科学の限界を理解し、経験とのバランスを取ることです。科学的知見が活かせる部分は積極的に活用しつつ、それだけでは説明しきれない部分については、長年の経験や実践の中で得られた知識に頼る柔軟さが必要だと思いませんか。

科学は強力なツールですが、科学が全てを説明・解決する「銀の弾丸」ではないですし、トレーニングのような複雑な反応を証明するのはそもそも難しいということです。

「最適なトレーニング」と「個人」

そもそも論ですが、科学というのは基本的に「一般化」を目指すものです。

しかし、科学が考えた最強のトレーニングは本当に最強なのか?(書いてて頭おかしくなりそう)

例えば、「週に〇〇km走ると効果的」「インターバルを〇本やるべき」といった指標は、統計的に見れば効果が高いとされるかもしれない。しかし、あるランナーにとっては過剰な負荷になり、逆に別のランナーにとっては刺激にならない可能性がある。

また、持って生まれた筋繊維タイプなどのフィジカル要因、これまで行ってきたトレーニング内容やトレーニング歴、現在の状態によっても、効果的な方法は変わってくるはずです。

そういえばトレーニングって何のためにやってるんでしたっけ?

そう、トレーニングは、個人の課題を改善し、個人のパフォーマンスを向上させることが目的であるはずです。

例を挙げると、持久力が足りない選手は、ミトコンドリアの量を増やしたり、質を上げたりすることを重視すべきだし(これは正しい科学の使い方)、スピードがボトルネックなら、スプリントトレーニングなどで可動域や出力を増やし、スピードの伸びしろを作るべきだと考えます。

※細かい話かもしれませんが、私は自身の能力を総合的に見た時に、ボトルネックを作らない「桶理論」という考え方が、パフォーマンスの向上に効果的だと考えています。これはいつか語りたい。

話が逸れました(´・_・`)

つまり、科学のモチベーションである一般的な法則を見出すことと、個々の選手が持つ特性や経験に基づいたトレーニングの組み立ては、根本的にモチベーションやアプローチの視点が異なると言えるんじゃないでしょうか。

恐らくトレーニングといううやつは、どこまでいってもおそらくオーダーメイドであることが前提なんだと思っています。そして、科学はそれとは対極的で、「一般的に」有効な手法を示すものであるはずです。というか、〇〇は効果がある練習だということを何の前提もなく主張している研究があったらそれは結構やばい研究です。

余談ですが、研究論文にもグレードがあり、すごい論文から、論文の形をした怪文書まで多種多様です。ちなみに後者のような論文を出版しているジャーナルをハゲタカジャーナルなんて言います(悪口)。

ですので、個々の選手がそれをそのまま当てはめるのではなく、自分にとっての最適解を、科学的に証明された一般の中から見つけることが重要です。多くのアスリートにとって、科学的なトレーニングを積むことが大事なんじゃなく、効果的なトレーニングを行いたい人のほうが大多数のはずです。手段と目的が「入れ替わってる~!?」ということは避けたいです。

長くなってきたのでまとめますと

  • 速くなるために使えるものは何でも使おう。
  • 本当に使えるものかは一度確認しよう。
  • 科学は思ったより万能ではない

ということでした。

ここまで読んでくれてありがとナス🍆 では、また次回の記事にて。