Astro & Cloudflare R2 に引っ越し


かつて「Next.js は覇権だ!」と声高に宣言した私を笑ってほしい。あれは幻想だった。いや、むしろ洗脳に近い。 気づいた時には、設定地獄と謎ルールの迷宮に囚われていた。フレームワークと戦う日々に疲れ果て、白旗を掲げたのだ。「純度の高い静的サイトこそ正義」と悟るまでに、どれだけの時間を無駄にしただろう。

next 以前は hexo というフレームワークを使用していたが、すっかり勢いをなくしてしまった。一念発起して Next.js に取り掛かるも、設定のエンドレスエイトに打ちのめされ、神にも祈る気持ちでモダンな静的生成ツールを漁る中で Astro に辿り着いた。 React の知識がそのまま活きることはいい意味で想定外の誤算だった。Astro 以外にも、Hugoも検討した。しかし、あれはオーパーツだ。おじさんしか使っていない(※諸説あり) という悪口を見たので、採用を見送った。 フロントエンドは激動の時代だ。世代交代、新陳代謝、多くのフレームワークが生まれては散っている。覇権など所詮つかの間の幻だ。夏草や兵どもが夢の跡。余談だが、JamStack でフレームワークの盛衰を眺めるのが新たな趣味となった。

また、画像の置き場も頭痛の種だった。Github Pages の画像制限にはもう耐えられなかった。目指したのはシンプルな構図だ。 静的サイトは Cloudflare Pages で爆速配信、画像や動画は R2 ストレージ に放り込む。Cloudflare の恐ろしいところは、ドメイン取得からホスティング、ストレージまで全部独り占めできる点だ。安い静的コストに惹かれ、気づけば完全包囲網に囚われていた。便利すぎて逆に怖い。 この機能の多さは便利を通し越して暴力だ。何が何のサービスか理解するのに三日かかった。R2 設定ではクラウド未経験の無知を露呈し、夜中に一人泣き震えた。AWS の概念図を睨みながら「結局 S3 とは?」と呟く自分が惨めに見えた。

昔、ムームードメインで「.tech が激安!」と飛びついたことがあった。見慣れないドメイン拡張子で、ちょっとアウトローぶりたい自分には、こなれた価格も相まって魅力的に見えた。しかし、年一の更新で度肝を抜かれた。たった数百円で購入したドメインの更新料は 6000 円。購入価格の 5 倍以上だった。ただでさえ一銭にもなっていないブログの維持費に気づいた時の絶望は今でもトラウマだ。しかし、Cloudflare Registrar は、購入価格も更新料を最初から見せてくれる。裏切らないのだ。そして、業界では文句なしの最安値である。というか卸値な気がするが利益はでているのだろうか。 私はCloudflare Registerで素直に .com を購入し、 .tech を廃止した。少しだけ、自分が大人になった気がする。

Next.js という重厚な牢獄から Astro という軽い檻に移っただけか? そう言われればそうかもしれない、そうじゃないかもしれない。 だが Cloudflare という完璧な看守のおかげで、もはや逃げる気は失せた。この便利さとコストは、もはや温泉だ。縛られるなら本望だ。 環境は整えた。あとは書くだけだ。次こそは、三日坊主にならない。